・大人にも、子供にもおすすめの「短編小説集」第二弾!
・シリーズですが、どの本から読んでもお楽しみいただけます。
・読むと気持ちが楽に、たのしくなるシリーズ
・自然なオノマトペと物語進行が魅力
・読み聞かせにもおすすめです
■文藝イシュタルより
「ぽ」に続き、「ぽぽ」の登場です。
どこから、どの本からでもお楽しみいただけるシリーズです。
「この感じ、不思議で楽しい本を読みたかった」
日常の中に溶け込む不思議な登場人物が織りなすへにゃっとした物語。
オノマトペの楽しさ、「リズム感」や「ふんわり感」がとても心地いい世界です。
読み聞かせにもおすすめです。
読んだひとそれぞれが、何を思い浮かべているのか聞くのも楽しいですね。
■書籍データ
A5 96ページ
2018/05/05(土)発行
■著者ホームページより
へにゃらぽっちぽー兄さんはケーキを食べたりおいもを食べたりピザを食べたりと、へにゃぽちゃんはバスを運転したり絵を描いたり太鼓を叩いたりと、さまざまな活動をしています。哺乳類の方々に加えて、爬虫類の方々、魚介類の方々、宇宙人の方々もへいさほいさとしています。
「ぽぽ」は「ぽ」に続いての短編集ですが、どちらから読んでも、どのお話から読んでも、ゆかいに読むことができるのです。
■試読
らんらん観覧車
へにゃらぽっちぽー兄さんが海沿いの道を歩いていると、そびえ立つどでかい車輪が見えてきました。これはなんですか。
看板があります。
「らんらん観覧車」
だそうです。そういわれてもよくわかりません。「ぽぽ? ぽっちぽ、ぽっちぽ」と近付いていくと、あちらからなにかやってきます。こんにちは。
やってきたのはこじんまりとしたお部屋です。ドアの中には椅子があります。入ってみましょう。おじゃまします。
お部屋はゆっくりと高いところへ登っていき、大きな窓からは海辺の風景をひろびろと眺めることができます。「ぽー!」「ぽぽぽー!」と、高いところが好きなへにゃらぽっちぽー兄さんはおおはしゃぎです。たくさんのお部屋をくっつけてぐるぐると回っている車輪のことを、観覧車と呼びます。ぐるぐるも大好きなへにゃらぽっちぽー兄さんはすっかり陽が沈んでしまうまで何十周も景色を楽しみました。ぐるぐる、ぐるぐる。
へにゃらぽっちぽー兄さんがストイックに観覧を続けていると、カップルさんが乗ってきました。
「こんばんは!」
「こんばんは!」
「へにゃらぽっちぽー!」
元気にあいさつをする三人を乗せて観覧車は回ります。ぐるぐる回って観覧のベテランとなっているへにゃらぽっちぽー兄さんは、窓の向こうの風景をカップルさんに紹介します。
「ぽー、ぽー、ぽっちぽ、ぽっちぽ」
港にかかっているのはぶりぶりブリッジです。ごうかなライトアップがされています。
「ぶりぶりブリッジは、元気にぶりぶりしていますね……」
彼女さんは明るく浮き上がる橋を眺めてうっとりしています。
「ぽぽー、ぽー、ぽぽぽー」
こちらに見えますのはわたわたタワーです。少し傾いていて、表面はでこぼこしており時々ぼろぼろと崩れ落ちてくるのが特徴です。
「わたわたタワーは、わたわたしていて落ち着きがないなあ……」
彼氏さんはへんなかたちのタワーを眺めてうきうきしています。
彼氏さんは、うっとりしている彼女さんをみて
「このひとのことがすきだなあ」
と思います。
彼女さんは、うきうきしている彼氏さんをみて
「このひとのことがすきだなあ」
と思います。
「すみません、ふたりの世界に入ってよろしいでしょうか」
「すみません、いちゃいちゃしてよろしいでしょうか」
彼氏さんと彼女さんはへにゃらぽっちぽー兄さんに訊きます。
「へにゃらぽっちぽー!」
ふたりを祝福する兄さんです。いちゃいちゃするカップルさん、きらきらする夜景、おめでとう、おめでとう。しあわせなふたりをみて、「ぽー!」と叫びながらあたまから湯気を出しています。
祝いの湯気に包まれて視界が悪くなったお部屋から、カップルさんが降りていきます。にこにこと見送るへにゃらぽっちぽー兄さんです。
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